ヨーロッパでは個人主義が発達していたという話をしました。
ヨーロッパではどのようにして個人主義が発達していったのでしょうか。

鍵やガラスなどの建築材料はいまやあたりまえのように私達の生活に馴染んでいます。
このようなエクステリアの考え方はどのようにして生まれてきたのでしょうか。

昔のヨーロッパの家屋には基本的には廊下というものは存在していませんでした。部屋というものも曖昧だったそうです。
ですから、個人のための空間というのはほとんど存在しなかったということです。
それが15世紀くらいになってくると裕福な階級の家庭には部屋というものが生まれるようになります。
富裕層はたくさんの使用人を使って生活しています。このような使用人と家族を分けるために「部屋」が必要になったのです。また、貴重品を守る必要もありました。こうして「部屋」という外から遮断された空間が誕生していったのです。

当時のヨーロッパのほとんどの家が石造りでした。四方が壁で仕切られていて入り口に鍵をかけると中は真っ黒になります。照明器具はランプやろうそくなどの松明しかありませんでいした。その様子は牢屋とほとんど変わらなかったようです。
そこでガラスという光を通す素材が必要になります。
まず窓を作り、そこに太陽の光を取り入れるためにガラスを使います。こうすることで部屋はより快適な空間になっていきます。
こうして個人の空間を手に入れるようになっていったということです。

このような部屋が比較的早い段階で成立させたのがイタリアのトスカナ地方だそうです。イタリアではそのころルネサンスという時代もはじまりますので何物にも束縛されないルネサンス運動がこのような個人主義と関係していたと考えても不思議ではないかもしれません。